近視と老眼
近視とは無調節状態(目をリラックスさせた状態)で、はるか遠方から目に入ってくる光が網膜の手前で像を結ぶ状態です。見え方としては近くは見えますが、遠くが見えません。
近視の人はよく「老眼にならない」なんて言うことを言う人もいますが、これは誤りです。老眼は加齢に伴う老化現象の一つですから、どのような目の方にも平等に訪れる症状です。ではなぜそのように「老眼にならない」などと言う誤解が生じるのでしょう。確かに近視の人は老眼鏡をかけなくても近くのものは見えるのです。以下その仕組みを図を見て説明をしていきます。
目のいい人はまっすぐ立っているだけで天井にぴったりと頭がついていますのでよく見えます。しかし近視の人は背が低いために天井までとどきません。だから遠くは見えません。背伸びをすると少しだけ天井に近づくので少し見やすくなります。これは近視の人がよく目を細めて遠くを見るという行為に該当します。しかし根本的な解決にはなりませんので、台の上に乗って天井に頭をつけます。この台に相当するものがメガネやコンタクトなのです。
近くのものを見るということは、図で言うところの天井が下にさがってくるということです(赤いライン)。目のいい人は膝を曲げて(赤○)天井の中に入ります。しかし40歳を過ぎた頃から加齢に伴い膝を曲げにくくなってくるのです。思うように膝が曲がらなければ天井が下がってきても中に入ることができなくなります。だから膝を曲げなくてもいいように穴を掘って中に入り、天井の中に入る訳です。その穴が老眼鏡やコンタクトレンズなのです。
近視の人の場合、元から背が低いわけですから、天井が下がってきても膝を曲げる必要がありません。もちろん自分の背よりも天井が下がってくれば曲げる必要は出てきますが。曲げなくてもいいわけですから、徐々に曲がらなくなっていることにもあまり気付きません。
しかしメガネやコンタクトをしているとすれば話は変わってきます(下の図で言うと、台に乗っている状態)。台に乗っていればその台の上で膝を曲げなくては天井の中には入ることができなくなります。
つまり近視の方は台に乗っていない状態ならば、膝を曲げなくても赤い天井の中にいるため、膝が曲がらないという症状を感じないのです。しかし台の上に乗った状態(メガネやコンタクトをつけた状態)で天井が下がってきた時に初めて膝が曲がらず、天井の中に入ることができない(老眼と言う症状)ということに直面することになるのです。
皆さん、日常でメガネをかけている人が近くを見るときにひょいっとメガネをはずす姿を見かけませんか?それは下の図で言うと台から降りて背の低い状態にした、ということなのです。
御理解いただけましたか?でも遠くを見たり近くを見たりするたびに台に乗ったり、降りたりするのも面倒です。そこで登場するのが遠近両用なのです。
★天井は目の網膜(カメラで言うフィルム部分)に例えています。
★膝を曲げるという行為は、目の水晶体(カメラで言うレンズ部分)を膨らませてピントを合わせる調節と言う行為に例えています。
★穴や台はメガネやコンタクトレンズに例えています。